2022.04.10
#長期実践型インターンシップ #アントレターン #スタッフインタビュー
JAEスタッフ 古賀泉インタビュー
2001年に東大阪でスタートした子ども向けの起業家教育(アントレプレナーシップ)教室。これがNPO法人JAEのはじまりです。その後、小・中・高校でのキャリア教育プログラム「ドリカムスクール」や、大学生を対象とした長期実践型インターンシップ「アントレターン」などを開発・実践。数多くの子ども・若者が未来を描くお手伝いをしてきました。2021年には創業から20年を迎えました。今回はアントレターンを担当する古賀泉のインタビューです。
大学の職員を経てJAEに入職した古賀泉。現在、長期実践型インターンシップ事業『アントレターン』を担当し、大学生のチャレンジをサポートしています。前職や転職活動時の思い、またキャリア教育に携わることになったことへのきっかけなどを聞きました。
―前職は大学職員ですね
そうなんです。中規模の私立大学で、奨学金事務や学生相談室の受付、学祭のサポートなどを担当していました。退職することになり改めてどんな仕事がしたいのか自分の軸を見つめたときに、やっぱり大学生や高校生のサポートをしたい、という思いが強かったんです。転職活動をする中で、様々なワークショップにも参加していたんですけど、そのときに「JAEというところがあるよ」と紹介され、はじめてその存在を知りました。同じ頃「大学生・教育・関西・支援」で検索したときに、上位に上がってきたのもJAEだったんです。その時は募集もなく、タイミングが合わなかったんですけど、NPOで働く、という選択肢もありなんだなぁと思ったことを覚えています。
その後、久しぶりにホームページを見たら直前に募集終了になってたことを知り「マジか!」って(笑)。要項を読んでみるとコーディネーターを中長期的に募集、とあったんですね。今後ご縁がつながれば、という思いで連絡してみると、ちょうど選考を再開しようとされてたタイミングだったみたいで、そのまま面談に進むことができました。
―入職の決め手は?
代表の坂野さんや塩見さん、他のスタッフの方と面談をしたり、現場を見せていただきました。強く関心を持っていたのは大学生だったんですけど、たまたま小学生を対象としたキャリア教育プログラムであるドリカムの現場を見学に行ったんです。そこで子どもたちが大人と関わって楽しんでいたり、がんばる姿を見て。子どもたちの変化を身近で感じられるんだ、携わりたいな、と感じました。ここなら大学生とも新しい切り口で関われるんじゃないかな、とも。
―そもそもキャリア教育に興味を持ったきっかけは?
大学・大学院では青年期の心や教育に興味があり、自己肯定感などを学んでたんですけど、その選択をしたのは、高校時代のときに『生きづらさ』を強く感じていたからなんです。その生きづらさの要因は、心の問題なのか対人関係なのか、それとも環境なのか…。その辺りを学びたい、と心理・教育という分野を選択しました。
実際にドリカムの現場を見たときに、大人との出会いがすごくいい機会になっているなと強く感じて。自分自身が小中学生の頃に、大人と関わる機会がほとんどなかったし、職場体験は経験しましたが、大変さだけを感じた印象が強くて。職業観も漠然としたままでしたね。ですので、選択肢が広がるだろうな、うらやましいな、と。すごくいいプログラムを提供されていることに感動しました。
―あまり明確な目標や職業観を持てなかったと
そうですね…。ずっと親や周りの期待をなんとなく感じ取って進路選択をしていたなと。大学に入ってからやっと自発的に学びたいという意識が生まれた気がします。自分だけでなく、周囲もみんなしんどいんだなっていう気づきもあり、みんなが生きやすくなるにはどうしたらいいのかな、というのもテーマになっていました。大学で学び、周囲と話す中で自己肯定感が低いことが生きづらさの1つの要因かな、と思うようになりましたね。この頃はまだメジャーじゃないワードだったんですけど、ぼんやりと自己肯定感をみんなが持てたらいいんじゃないかと思うように。「自分が自分であって大丈夫」、という感覚というか。
―「自己肯定感」がキーワードなんですね。今JAEではどんな業務を担当しているんですか?
インターンシップフェアや説明会で、なんとなくインターンに興味を持っている学生さんたちと触れ合うところからはじまって、個別面談も担当しています。面談で、長期のインターンが向いているのかどうかを話し合い、他のインターンが向いているんじゃないか、と提案することもありますね。
「この企業でチャレンジしたい」という学生さんには、エントリーシートや課題の添削もしますし、企業の面接にも同行し、できるだけ本人の思いや良さが伝わるようにフォローしています。インターンに合格となれば、インターン生の全体研修や、個別の面談です。インターン中は日報を見ながら、振り返りと次のアクションに向けての整理をして、って感じです。
▲インターン生の集合研修では、目標の設定や振り返りはもちろん、交流も大きな軸となります。
―結構がっつり伴走している印象です
JAEのインターンは、学生さんを企業に送り込んで終わり、じゃないですね。みんな必ず壁にぶつかったりうまくいかないことも出てきます。そこでより良い方向へどう促していくか、というのがJAEのコーディネーターという業務の特徴というか良さであり、企業さんと学生の間に入っている私たちの存在意義だと思っています。
―インターンにも選考があるんですね
今はそれほど多くはないですが、採用人数も決まっているため不採用の場合はあります。ただ、選考までに何度か面談をして本人の現状や方向性を整理したり、という時間を取っているので、そこでの自己分析や経験が次のチャレンジにつながるといいなと思っています。
また、長期のインターンなので途中で離脱する学生さんももちろんいます。以前新規受入企業さんの担当時に、学生3名中2名が離脱したことがありました。この離脱の経験が彼らにとって今後どんな意味づけになってしまうのか、という心配もあり正直つらかったですね。もっとその学生さんたちのためにできることがあったんじゃないか、企業さんに対しても何かサポートできたんじゃないか、と反省はいっぱいしました。
―現在の業務の中でのやりがいを教えてください
大学生の挑戦や変化の側にいられることが大きなやりがいです。また、一対大勢ではなく、一人ひとりに寄り添えられている実感はすごくあります。学生さんたちから最初に「こんな風になりたい」、「成長したい」という思いを聞くんですけど、半年間のインターンを終えた時に彼らの変化や成長を見た時に、彼らにとって本当にいい時間になったんだな、と実感できるのが1番の瞬間ですね。
―成長を実感できると
インターン中も学生さんとの面談をして、悩みを聞きアドバイスをしてまた送り出す。でも次に面談するとまた同じところで悩んでたりする。なかなかガラッと変わることはありません。いつか何かのきっかけで変わるだろうと信じて関わり続ける、って感じですね。それはインターンが終わった後かもしれないし、もっと先かもしれない。ちょっとしたきっかけで糸が切れて辞めてしまうんじゃないかと思う学生さんのフォローも心がけています。
あるときなかなか変わるきっかけを掴めない学生さんがインターン終了間際に「はっと気づいて変わった」瞬間があったんですね。代表の坂野さんの言葉が直接的なきっかけだったんですが、本人から「変わるきっかけになったのはそれまでの古賀さんとの面談の積み重ねがあったからこそだと思う」と言われたんです。今までやったことが無駄じゃなかったな、と実感できた瞬間でした。
他にも1ヶ月半のインターンでは「何かあったら古賀さんに相談しようと思えた」「週1の面談がメンタルヘルスケアの時間になってた」という声をもらったときもうれしかったですね。
▲インターン先の企業を訪問し、インターン生たちの様子を聞くことも
―それはうれしいですね。学生さんだけでなく企業さんとも深く関わると聞きました
インターン受入企業さんには、はじめに企業さんの抱える課題やどんな企業になっていきたくてインターンに参画するのか、など、かなり丁寧なヒアリングをしています。「人を育てる」というところに課題感を抱えて苦労されていることが見えますが、そこは私自身も前職の経験で感じていた組織の課題で。そこでインターンの活動を通しての学びが、人材育成に生かせるんだな、企業にとっても土壌を耕していく、というところでは意味があるんだな、と気づきました。
以前は、学生が成長するという面でしかインターンを捉えていなかったけれど、企業にとってもプラスになっているプロジェクトだと実感しています。そういう目線でのインターンはなかなかないのかな、と。インターンと関わっていただく中で、社員との関わり方や育成に視点を持っていく感じです。
―今後の目標を教えてください
今後も対学生、というスタイルは変わらず、より良い寄り添い方、面談を心がけたいですし、企業さんに対してのヒアリングの時間もより良いものにしていくために自分の引き出しを増やしたいです。コーチングなどを学ぶ必要性も感じていますし、聞く力も伸ばしていきたいと思っています。
聞き手:林(JAE広報)